「動かない」と人は病む――生活不活発病とは何か
活動しないをほっておくと、不活発病になる。
社会とつながりをもち、活発いきいきとした生活をすることが大切ということを広めたいと思い今回 記事として取り上げました。
大川弥生
(独)国立長寿医療研究センター 生活機能賦活研究部 部長
*現在の連絡先:
(独)産業技術総合研究所
知能システム研究部門 招聘研究員
「動かないと体がなまる、弱る」というのはいわば常識ですが、高齢者や障害のある人では特にそれが起こりやすいのです。
また災害のときにも起こりやすいものです。これは避難所を利用した人だけではなく、在宅生活を送っている場合でも生じてきます。
生活不活発病は、全身のあらゆる機能が低下するものです(表1)。
この表にあるたくさんの症状(心身機能低下)が、同時に少しずつ起こってきます。それらの総合的な影響で、まず、全身を使って行うこと、つまり、歩いたり、立ち上がったり、段を上ったり、そのほかのさまざまな日常の生活上の動作(「活動」)がやりにくくなったり、疲れやすくなったりしてきます。ですから、「この表にある症状のうちはっきりしたものがないから、まだ生活不活発病にはなっていない」と安心してはいけません。
生活不活発病は、その発端は小さいように見えても、放置しておけばどんどん進行していきます。
「動きにくいから動かない」→「そのために生活不活発病が起る」→「そのためますます動きにくくなる」という、「悪循環」が起るからです。
このような悪循環の存在は、生活不活発病を初期段階のうちに発見し、予防・回復をはかることの重要性を示しています。
以下にチェックリストをリンクしています。